「聞いて聴いて、早川一光先生のラジオな話!又、来週」 第15話 20190820reissue
次に担当したのが「武部宏のおはようサンシャイン」
前任者は人事異動で、私が番組チ-フになりました。
スタ-トして1年余り、聴取率も低迷していました。
武部さんは、私がアナウンサ-で入社した時の上司で、結婚式の司会もして頂きました。
朝日や毎日に比べると知名度は低く、前任者は商店街に出かけ選挙運動よろしく、
のぼりやたすき掛けで握手会をするなど、努力はしていたようです。(母親が伏見の大手筋商店街で見かけたそうです。)
起死回生の秘策が必要ですが、制作費に余裕もありません。
そんな折、ゲストに宮古島のトライアスロンシニアの部で優勝した高石ともやさんを迎えました。インタビュ-で武部さん「明日から私、自転車通勤します。」と宣言!(近鉄伊勢田から御所蛤御門前KBS京都まで)スタジオ入りは、午前6時。
向島からタクシ-で会社に向かう私は、武部さんの自転車を追い越す格好です。
以前からラッシュで渋滞の時「自転車で放送出来たら痛快だ」と思っていた私は技術の先輩Eさんに相談。
今は送信機もコンパクトになり可能と言われ、総務のママチャリで御所の周りを実験走行。荷台に前後スピ-カ-を取り付け、「只今、生放送中」のゼッケンとアイスキャンデ-屋さんみたいなノボリを付けて走行!
勿論周波数と、番組名も書いて民放初のラジオ自転車誕生です。
信号待ちでは、不審そうなドライバ-にスピ-カ-を向け、スイッチオン!
千里の道も一歩から。
人の不幸は蜜の味。冬の早朝、
武部さん「寒い!手袋忘れた」
すると
沿道には手袋や熱いお茶を持って、待ってくれています。
すれ違う車からは「ガンバレ!聞いてるよ」と激励クラクション!
「有難う!ナンバ-○○さん有難う!」
はずむ武部さんの声
「鼻水が出るほど寒い朝ですが、スタジオさん天気予報よろしく!」
ダンディ武部さんも格好を付けていられません。
天気予報も交通情報も一味違います。
素の魅力、人間武部さんの本音これが新鮮で又、ラジオの魅力です。
番組が楽しくなってきた武部さん。
京都の人脈を生かしていろんな事にチャレンジします。ラジオ自転車の愛称募集。
りんたろうと朝太郎。
朝太郎は私が乗る自転車。バックアップはラジオカ-のアラレちゃん。
武部さんを中心に、1分、2分と予定にない放送カットをスタジオに無線で指示。
生放送は生き物です。
8時前のニュ-ス「清水寺の前に古都税反対の看板が出ました。・・」
「では、その看板を今から見に行きましょう。」
自転車であの坂はしんどかった。
想定外の連続。
鴨川でアユ釣りリポ-ト中、ニュ-スの時間になり読んでいる途中で、何枚か原稿が川に流れました。。。
8時の時報をピタリと合わすと、拍手が起こります!
沿道で待っている親子
「うちの子りんたろうです」とお母さん。
「自転車通勤です。途中まで・・」
「聞いてるよ!」とクラクションを鳴らす車が、増えてきました。
元気が出ます。
「おはようの挨拶で、御所も祇園祭りの鉾町もラクラク通過。」
ある時は自転車又、ある時は中継車。
放送は午前9時半までですが、自転車の日はKBSまでこいで帰ります。
(見せるラジオの番組宣伝。見えないラジオをどう見せるか!)
京都の街をりんたろうと朝太郎2台の自転車が駆け抜けます。
のちに色気が無いと、京の女子大生、萬處雅子さん(第1回琵琶湖トライアスロン女性日本1)の自転車も加わります。
この番組で「早川一光のばんざい人間」でも受賞したギャラクシ-賞の奨励賞を頂きました。
スタッフ一同大喜びです。りんたろうも自転車メ-カ-がサポ-トしてくれて、改良されていきます。
ちなみに「りんたろうのロゴ入りオリジナル自転車」を作って番組で販売したところ予想を上回り、1週間で1000台売れました。製造が追いつかないと、メーカ-も嬉しい悲鳴!(買った自転車が盗まれたというお便りもありました。)又、来週(つづく)
*著者紹介
KBS京都「早川一光のばんざい人間」を立ち上げた初代ディレクター
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