「ST,在宅やってるってよ」その143
「食べて欲しい、食べて欲しく無い」
在宅で関わる中で何度も何度も向き合う事になるテーマです。
「嚥下評価で〇〇だから〇〇」とは
中々一括りには行かないものでもあったりします。
ある人は少し咽せる事に強い恐怖を感じて
「これ以上は口から食べたく無い」と
自らの意思で言われ、それ以外の生活の楽しみを優先されたりもしますし、
この方と同じくらい、いやそれ以上に咽せやリスクがあっても「食べ続けたい」
と言われる方もおられます。
生活の中、価値観、これから先の残された時間、様々な事が複雑に絡み合っています。
「最期は好きなものを」
という場面にも遭遇することがあります。
嚥下障害がある中で(無くても全身状態によって)
「最後に食べたいもの」は
健康な時に考えていたものと異なるかもしれません。
ターミナルで
「ナポリタン!」と、叫んでおられた方が
一口ナポリタンを実際に口にして大きく咽せこみ、その後は食べたいと言われなくなった事があります。
苦痛がかったからなのか
一口で満足したからなのか
それ自体は聞き取る事が難しい方でした。
看取りでの、食支援を長年されて方から
お聞きした話で
最後に食べて満足しておられるもの、
「メロンの真ん中」が多いと話されていました。
「苦痛も少なく、ご馳走」
そんな丁度良い満足感があるのかもしれません。
食べて欲しいから(食べれるようになるから)今は食べて欲しく無い、の場合は
具体的な説明と、その段階段階での楽しみの引き出しを持つことも。
「食べて欲しい 食べて欲しく無い」
大きなテーマです。
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