「ST,在宅やってるってよ」その141
看取りの事や終活についてのお話を多職種で話し、聞くたびに思い出す方がいます。
出会いった時は
その方は「介護者家族」の方でした。
訪問する中でご家族として接していました。
数年経ち、ご家族がお亡くなりになり
数日後、お電話を頂きました。
「話せなくなってきてる、浮かばなくなってきている」
介護サービスについてお話しすると
ご自身で主治医を見つけ、サービスを開始されました。
介護者家族さんがご利用者さんに変わりました。
少しずつ症状は進みましたが
お一人で元気に明るく過ごされていました。
数年が経ち、ある日訪問すると
いつもよりソワソワされていました。
ご一緒に不安なところを確認して
落ち着いてくるといつもの様子に。
そんな時にポロッと言われました。
「時々、自分が自分じゃ無い様になってる、それが増えていってるねん」
そんなお話を聞きつつ、ご家族の協力もあり、更に数年。
身の回りのお手伝いが、必要にはなりつつも、一人暮らしを続けておられる日々。
ある年末の訪問。
「そういえば美空ひばりがAIで新曲出しましたよ」
「えー聴きたいな」
そんな事を言いながら
二人で聞いていました。
何故だかわかりませんが
涙がつーーっと出てきました。
「私、もう来年は無理な気がするねんな」
その場では
「いやいや、まだまだいけますよ」
と言いつつ。
その後半年で
施設に移られることとなりました。
同じ日がないこと。
自身でも感じられている違和感の様な
予感の様な言葉に、どう向き合うか、
どうすれば、より良かったのか。
時々考えます。
これから先、そういった部分にも
何か出来ることがないかと考えて今に至ります。
終わりも答えもないけれど
年末の二人で聞いた美空ひばりが忘れられません。
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