「ST,在宅やってるってよ」その120
ICFについて以前ここで書きましたが、
ある失語症の方への関わりに変化があったのでこちらに。
最初にお会いしたのは7年前、発症から1年程経たれた運動性失語の現在80代の男性
ご病気されるまでバリバリの広告営業マン、
講演を始めとして人の前でお話するのが特技な方。
ご病気をして常套句が少し、具体的な単語が出ずお仕事も辞められました。
当初は「話せない」以外がしっかりされている事をご家族に理解して頂く事から
始まりましたが、徐々に単語や単文でのお話が出来るようになられて、失語症当事者の
皆さんで集まるお茶会、言語聴覚士の養成学校にも話し相手として来て下さる様になっておられました。
そんな方ですが、、
言語機能としてはこの2年間くらいはやや停滞気味に一見、見えました。
お年のこともあり、体調やスケジュールの都合で4週間お休みになると寧ろ一旦
言語パフォーマンスが下がる、等も見られ言語能力コンディショニングを整える、が
目的になる時期もありましたが、
絵カードでの動作絵説明課題の表現内容を良く聞くと
「、、、、、まあ、、要するに」
「なんてことはない話やけど、、、」
とだけ返答として出て、その後が出ない、という時期がありました。
一見すると錯語、ですが
それ以前は動作絵に沿った形で単文での説明が出来ていたので
「より自分の言葉で話そうと努力されているのでは」
という視点からアプローチを変えてみることにしました。
例えば、要するに、と言いたくなる新聞記事
親密性の高い話題(スポーツや政治関連)
ヒントや促しも「要するに~」の後に少し添えたい話題を付ける
すると
「要するに~やから、~に総じてなる」
など~は大きな捉え方では伝わる位の範囲での錯語ですが
「言い切れる」場面が増えてきました。
また土地勘が良く、観光地などを紹介することが好きな方なので
「○○までの行き方教えてください、何分くらいですかね?」
などご本人に合ったテーマ、話題、シチュエーションを用いることで
「四条河原町から徒歩10分、ここから電車で30分」と出る内容が増えてきました。
個人因子を意識した課題提案の大切さを改めて感じた瞬間でした。
何より「言いっ切った」というドヤ顔が素敵でした。
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