「ST,在宅やってるってよ」その12
前回「多(他)職種連携」についてふれましたが、
今日、タイムリーに京都訪問栄養士ネットさんに在宅嚥下機能の講義をさせて頂いた際に
総論的に話す私の内容を聞きながら、実習でされる対応は私の知識とはまた違う視点で工夫されていたり、とお互いに学ぶものがあるな、と感じたので今回も多職種連携について書かせてもらいます。
今回はその具体例を少し。
例えば「食支援」としての取り組みを多職種で行うと
言語聴覚士は食事・嚥下機能の評価から適切な食事形態の提案や、口周りや発声能力の練習を通じて、嚥下機能自体を鍛えるなどを行いますが、多職種では、、
医師の先生では全身状態を考慮した上でのリスクや禁忌事項等を考慮した食事に関する全体的な指示をしてくださいます。例えば「お酒は飲んでいいか」だったり、尿量や血圧などからの一日摂取量の評価などもしてくださいます。
病態の進行に伴う食事と看取り、終末期も密接ですので、そういった予後予測をして下さることも人生全体の設計としても大切です。
また全身状態を含めた上でレントゲン透視下での嚥下検査(VF)なども診療情報提供書を作成し、専門病院に提供してくださいます。
歯科医の先生が歯のケアや補綴床の作成によって話し易さや飲み込みの際の圧の補助装置を作成してくださります。また歯科医院によては訪問先に嚥下内視鏡検査を行ったり、咀嚼能力の評価や舌圧検査もしてくださいます。
顎の歪みに対してのケアやマウスピース作成などもして下さる先生もおられます。
歯科衛生士さんであれば、日々の口腔ケアの実践やアドバイス、施行から所謂、「歯磨き」以外の「機能的口腔ケア」として口のコンディショニングを保つ為の運動やケアの指導をして下さる方もおられます。
看護師さんに関しては、日々の生活全体を通してのケアと医療的処置、胃ろうからの栄養管理や鼻からの栄養、唾液吸引が必要な際の処置、その処置方法の多職種への共有など多岐に渡ります。
また食べるだけでなく、尿や便が出にくい方へのケアも専門的に処置してくださいます。
理学療法士さんは食事に適した姿勢だったり、外食に必要な移動面の提案、食事に必要な筋力トレーニングの提案をしてくださいます。食べるに関する筋肉へのアプローチも得意な方もおられます。
作業療法士さんでは身体面の評価から食べるのに適した姿勢、着座、食具の選定、食べるために必要な自助具を作成してくださいます。
理学療法士さんも含めて呼吸療法認定士をお持ちの方だと、換気能力などを含めた呼吸療法などもしてくださいます。
介護福祉士の方はこれらの専門職からの共有部分を日常生活の中で途切れなく取り入れたケアしてくださいます。食べるに関するルールを守りつつ、必要なケアを行う。
関わる時間が長くなることが多いため、個々人に合わせたルールに対する手際の良さが秀でておられる方が多いです。また日々のケアから些細な変化に最初に気づかれることも多いように感じます。
薬剤師さんんなら、飲み込みの力に応じて散剤、錠剤、口の中で溶けるなど、の調整を
処方箋医の先生に確認しながら行ってくださいます。
管理栄養士さんは食事内容のバランス、食事アレルギーを含めた検討や栄養計算。
飲み込みやすいレシピの実践や提案をしてくださいます。
痩せるためにも、太るためにもその方の状況に合わせた提案をしてくださいます。
調理師さんは、食材の選定、切り方、煮方や調理方法を駆使して食べやすくする、
美味しさを保ちながら見た目や香りを意識する等のアプローチをしてくださいます。
このように各職種によって「食べる」に対して出来るスキルもアプローチの方法も
それぞれ違います。またこれは私から見た意見ですので、他の職種の方から見るとまた違った視点の強みやアプローチがあるかもしれません。
いずれにせよ
一人の方の「食べる」に関するアプローチは多面的であればあるほど、
且つ、同じ方向(当事者本位)を向いていればいるほど、より良いサービスに繋がるのではないかなと感じます。
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