「ST、在宅やってるってよ」その95
皆さん、4月25日は何の日かご存じでしょうか?
「し4、つ2、ご5」⇒「失語の日」です。
失語症についてもっと多くの方に知ってほしいということから始まったそうで、
当日は今年は盛大なオンラインイベントも開催されます*
在宅においてSTが失語症の方々と関わることは多くあります。
病院時代、外来も担当していましたが
そこで見ていた当事者さん達の一面は「点」だったのだろうと今では思います。
通院するために普段より着飾り、良い状態で、
「病院に行っている顔」で関わって来られるからです。
ちょっと分かり難いので
もう少し分かり易く言うと
例えば、健康診断にいく時の我々と普段の我々の「整えて行く度合」
に似ているかもしれません。
生活習慣病疑いがあると言われたら「気を付けます、運動します」
といいながら、普段は、、、という様な。
脱線しましたが、
在宅に出て思うことは
「孤立」です。
社会的にも、家庭内でも、大小あれど「理解し難い」のが失語症です。
「分かっているけど言えない」
「記憶できるけど、長い内容は聞き漏れる」
これだけでも失語症ということを理解していないと誤解が産まれます。
「あの人は、記憶障害」
「あの人は認知症」
「しゃべる気がない、やる気がない」
こんな認識が次々と産まれます。
デイサービスに行きたくない、散歩も近所の人に話しかけられたら嫌。
外来の時だけの「点」の会話
訪問もその場で話すだけなら違う顔は見れても関わりは「点」のままです。
ーーーーーー色んな経験を思い出しますーーーー
失語症の独居のある方はご病気後に一度も写真を撮っていないので
遺影用の写真を撮っておいて欲しいとある日言われました。
ある方は、話しにくい事が理解出来ないまま営業職に戻り混乱した所で相談を受けました。
逆に
普段は運動性失語で物静かに電文体(助詞や抑揚のない話し方)の方が
私が婚約し、ご両親にあいさつに行くのが緊張する、と伝えていると
その日を覚えていて下さり、「大丈夫!真剣に話せばきっと上手くいく!」と応援のメールを下さったり、、、、
皆さん、その時その時を当たり前に生きておられます。
なので心がけている事が幾つか。
①ご家族に知ってもらう事
「話しにくいけど、分かっておられますよ」と言いながら特異な表現方法で実証したり。
②自信をもってもらう
話すのは苦手でも書くことが出来る、書くことが苦手だけど話すことは出来る、
様々な差に対して代償手段(最近はスマートフォンで拡張)をして自信を持ってもらいます。
③安心できる居場所を伝える
同じように話しにくい方々の居る「お茶会、友の会」を紹介したりします。
④役割を持って頂く
STの養成校や失語症会話パートナー事業のお手伝い、講師をお願いしたりして繋いでいます。
⑤失語症に特化したサービス
現在各都道府県で失語症会話パートナー養成事業というものが始まっています。
一言で言うと失語症を理解したヘルパーさんのような方を増やそうというものです。
こういった関わりで「点」を増やして「線」にして「面」にしていくことが在宅の関わりなんじゃないかな、と感じます。
失語症について広く伝わり生き易い社会になって欲しいものです。
写真はお茶会で寺田屋周りを廻った時のものです。皆さん良い笑顔でした。
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