「ST、在宅やってるってよ」その59
【個人因子×言語野】
それぞれのご利用者の個性、生活歴を紐解いていくと
色んなことが見えてきます。
一見、バイリンガルな印象を受けない方でも
実はじっくり時間をかけて聞いていくと
3か国語がなんちゃってレベルで話せると判ったり。。
急性期では言語機能的にも家族が疎遠だったりすると詳細は分からず、
生活期になってから言語機能の回復と相まって信頼関係が気づかれていくと
自宅にある資料などを見せながら半生、職歴なんかを教えて下さったりして
判明していきます。
この方は営業職で海外赴任が長く、転勤も多い中で
少しずつ中国語と英語を中心にブロークンな感じで体得されたとのこと。
それを知ってから迂回表現時の試みに英語を加えたり、
苦手な復唱に日本で通じる英単語などを加えると正確性、効率が上がり、
ご本人も実感。
第一、第二言語に関する言語野の研究はまだまだ諸説ありますが
習熟すると同じ領域で省エネ化というのがありました*
この方はブロークン多言語なので習熟していなかったのが幸いしたのか、
言語野が異なるのかもしれません。
生活期において
個人因子と言語機能のアプローチを組み合わせると
新たな試みの可能性があるな、と感じました。
*「多言語を生み出す脳」BRAIN and NERVE 70巻6号
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