「ST、在宅やってるってよ」その53
ここの所の認知症の方への在宅でのSTとしての関わりについて、です。
STとしてのセオリーというか王道なアプローチとしては
全体を評価して、低下している(苦手な部分、コミュニケーションでは言語モダリティ)
に対して言語療法や代償手段、環境調整をする、ということが多いかと思いますが、、
在宅で認知症の方に対しては少しアプローチが違います。
得意な言語モダリティ(読み、書き、聞く、話す等)の確認。
日常自立されているレベルでも毎回確認しています。
テストという感じは少ない、極力頻度は減らして、フリートークや身の回りにあるものなどを用いたり、少し改まったり場面だったり両方です。
(例、「読む」ならテレビや新聞をフリートークの流れから見ながら少し交えたりしてさり気なく確認したり、「ちょっと読んでください」と改まって確認したり、という感じ)
理由は幾つかあります。
①先週出来たいた事が難しくなっている可能性
→得意なモダリティによって何とか自立出来ていた方が、難しくなっている場合、多職種やご家族に共有して別の手段や環境、サービスを考えていく必要がある為。
②得意なことがあることで不安を減らす
「もう、言葉がわからない」と漠然と不安になられる時に、
読むのすごく得意ですよ、読めるから困った事があってもメモを貼っておけば大丈夫ですよ
と安心して頂く為。
認知症の中で漠然と不安になることがあり、それが深みに嵌ると混乱しやすくなったりします。そういったことを避けたり、多職種・家族とのストレスを減らすことにも繋がります。
③得意なモダリティで最大限会話を楽しむ
得意な手段で本来ある想いをフルに表現出来るお手伝いをすることで
会話を楽しむことが出来ることは大切です。
具体的な言葉が出なくても、迂回表現や予想できる単語(本人が自分の口で言いたいって程でないもの)を予想して伝える、地図などをアプリで示しながら代償する、などで
伝えたい本質、話題の本質を共有出来たりします。
またこういった「快」の感情は前回の「記憶と感情」でもお伝えしましたが、
また話したくなったり、楽しかった話題が記憶を探る目印にもなったりします。
出来ることを見る視点、大切にしていきたいところです。
Comments