top of page
執筆者の写真hanataku2019

「ST,在宅やってるってよ」

「ST、在宅やってるってよ」その6

前回の「STが在宅で遭遇する生活期⇔急性期?」の在宅での対応例をご紹介います。


80代の旦那さんが介護者で、奥さんの状態が変わるまではトイレの介助も食事の準備もお一人で基本的にされていました。しかし、状態悪化に伴い嚥下食が必要となりました。

尚且、一回で食べられる量が少ないので高栄養な物が必要でした。

退院時に幾つかのレトルト嚥下食を紹介、サンプルを持ち帰られましたが、

退院後に伺うと、いつもの食事を用意して居られました。

理由をお聞きすると

「試供品は美味しくなくて食べへんかったわ、私の分はスーパーで買って来てるし、こうなった」


一般的に「食の危険」は理解し難いものだと思います。血が出るとか息が止まるとかのわかり易さを伴わないことが多いので「~気をつけた方が良いかな」と捉えている方は多いです。

またこちらは伝えたつもりでも、しっかり伝わっていない事も多いです。


別の方の例では

一般的に見て、食事に普段から気を使っておられる奥さんでしたが、

状態悪化後に退院され「ペースト食・中等度トロミ対応」と病院からは伝えられました。


退院後お伺いすると

ペースト食は用意しておられますが、

「精を付けなくては」と高級すっぽんスープを1時間かけて介助されていました。


冗談のような話ですが、「栄養ドリンクを飲んでおけば大丈夫」という認識は結構多いです。

食事は全く摂らずに、栄養ドリンクや栄養ドリンクの錠剤だけ摂っている方もおられます。


1例目の旦那さんには


近所のスーパーで売っている食品やお惣菜から具体的な商品名を記載して、その中から選ぶようにお伝えしました。

例えばチーズ、シュークリームの中のクリーム、アイスクリーム、レトルトカレー、マヨネーズを和えたツナ缶。

最寄りのコンビニからはセブンイレブンのサバの味噌煮という感じです。


旦那さんが具体的に連想できること、認識出来る事が大切でした。

他のサービス導入は?のご意見もあると思いますが、

調理のヘルパーサービスで実際に嚥下食を考慮して作ってくださる事業所が無かったり、

配食サービスの嚥下対応のお弁当もご利用されましたが、元々比較的「ジャンク」な味がお好きなので合いませんでした。


2例目の奥さんには

スープやタレも水分であることを説明しました。

その際に

ジュースも?牛乳も?と聞かれました。トロミはお茶だけ必要だと思っていたと。


この方は奥さんとご自宅が大好きで、それ自体が生きる目的の方でした。

奥さんの作る美味しい料理を少しでも食べることの練習(眼の前で美味しいお肉を奥さんに焼いて頂き、カット。噛みやすい歯に乗せて、その後舌の奥に入れ直すを一緒に)を訪問時に行い、それを出来るだけ長く食べるために普段の食事はペースト食を食べる。又はコンビニのウィダーinゼリーを飲む(元々飲んで居られた)となりました。


また、お二人とも、メインの介護者が配偶者で常に一緒におられるので、

一回で無理に量を摂るのではなく、ゴックンが1分経っても起こらなくなったら一旦終了。

分食の提案もしました。

緊急時や食べ終わっても喉に溜まってる音がしたり、咳き込んだら訪問看護師さんに連絡、などのひと目で分かる注意の紙面を食事場所の近くに添付したりしました。


その人らしい食環境、思い、介護者の食への認識・理解度・提供出来る食事の環境能力などを勘案して提案出来るのが理想だと思います。





閲覧数:62回0件のコメント

Comments


bottom of page