「ST,在宅やってるってよ」その31
今回は在宅でどこまで「検査をするか」について
病院では失語症・認知症や高次脳機能障害の症状の評価として
スクリーニングテストから標準化されたテストバッテリーまで
その方の状況や医師からの提案・指示によって行う場合が多いです。
が、
在宅ですと、かなりケースバイケースです。。
以前にもここで書きましたが、
当然ながら
在宅に戻った当事者さん達は「自分の生活に必要か、サービスを選ぶ側」
になります。
発症して搬送され、入院し、毎日入院先の部屋にリハビリスタッフが来て
「今日は〇〇します」という流れの「受け身傾向」ではないこと。
また利用者さんから言われたことですが
「退院する為に検査も受けていた」という気持ちだったりします。
自分ごとに置き換えると病気してしんどいのに、勉強やテストみたいなことを
繰り返しされて、
挙げ句
「〇〇さんはこれが苦手だから〇〇するのは今後危ないので控えて下さい」
とかなると、嫌な思いしか無いわけです。。(勿論モチベーションを上手く引き出しながらされる方も沢山いますが、一見真面目に受けていても内心は違ったりします)
退院後、STサービスを希望され、開始になり、関係性は良好
ご本人のこれから「したい、出来るようになりたい」に沿いながら行う
普段のリハビリには熱心でも。
「ほな、今日はテストしましょうか」と提案すると雲行きが怪しくなったり、、、
特にテストバッテリだったり、複数スクリーニングを行ったりして在宅での言語リハビリの大半をテストに費やす日が続くと
「もう受けたくない」となったり、、
こういったことが起こらないようにするには幾つか留意しながら進めます。
・重度の方の場合は出来るだけ、自然場面やフリートーク内にチェックしたい項目を入れる
例)・今日は何年何月何日ですか?季節は?
→最近、外の気温どうです? もうすぐ何かイベントありませんでしたっけ?
・書字機能チェック
→必要事務書類などの記載で確認
自然場面で確認することで、「生活上必要やけど出来なくて困る」にも繋がりやすいので
ケアプランや本人の目標設定としても具体的になりやすいメリットもあります。
・複数の簡易なスクリーニングを日毎に組み合わせながら変化を確認する
普段の練習やフリートークなどもしながら10分~20分使って行う。ストレスが少なくて済むことがあります。また「良くなっているか、得意なことの変化を見てます」などの説明と同意も必要です。
・目標の為に
目標にすることが具体的であればあるほど、テストの説明に同意が得られれば、しっかりと受けられる印象です。こういった方は標準テストバッテリも真剣に受けられる印象です。
例)「復職するために、先ずは障害者職業センターにいきましょう。その際に相談材料として現在の状況を相手方にも把握しやすいテストをこれからしばらく行いますね」
・他の社会資源と役割分担をする
外来リハビリや都道府県の支援センター機能として検査を受けられる機関があるなら、そちらで検査はしてもらい、その結果を在宅でわかりやすく、実際の生活に活かせるように噛み砕いてフィードバックする。
我々は専門職なので評価して練習して、結果を見て、次のプログラム目標を立てる、は必要です。「検査したくないからしない」では結局、利用者にうまく還元出来ない可能性があるので、自然場面でも「目的を持って評価する視点」を持ち、当事者・ご家族、多職種に論理建てて説明出来るスキルを持ち合わせたいものです。
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