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執筆者の写真hanataku2019

「ST,在宅やってるってよ」

「ST,在宅やってるってよ」その28


今回は在宅、入居施設等での食事形態、レベルの設定についてです。


STや嚥下専門職が関わっている時間に食べられるもの形態、レベルをそのまま

普段の食事形態のレベルとしていいか、、、、


非常に悩ましい問題ですが、幾つかのポイントをチェックしながら考えていきます。


1、食事時間、量の問題

例えば、一口に対し複数回嚥下をすれば、トロミ無しでの食事、飲水が可能だとします。

でも食事は介助が必要で、所要時間は1時間半


これでは365日は難しいと思われます。

食事を安全に食べられる設定を守れる時間は45分くらいまで、と言われているので、

それ以上かかると安全な飲み込みを省いてしまう、忘れてしまうリスクも上がるからです。

また「1時間半座って食事をする」という行為自体に消耗してしまう可能性も高いです。


分食や一つは形態を落とす、高栄養なものを入れるなどの調整が必要かもしれません。


2、介護サービス状況

毎日、食事前後に口腔に関する専門職が関わる、というサービスを組むことは現実的には困難です。

例えば、

病院では「食後に吸引すれば摂食可能」という条件での食事形態・レベルであれば、

それをそのまま自宅、または看護師が24時間常駐でない施設では困難だと思われます。

ムセ難い、や咽頭残留が少ない、を考慮したり、場合によっては胃瘻などとの併用も考えられます。


3、介護者の理解

食事に対するリスクの意識を持っている方は依然として少ない印象です。

大きな窒息や誤嚥性肺炎を経験する前に防げるのが理想ですが、多くは一度そういったエピソードを経験してから意識しだすことが多いです。

また一度経験しても、「言われた食事では食べへんかったから、、、」「口の中には無かったから、、」と在宅でのその他の留意点に比べて、条件と違う食事形態や環境にすることでの危険認識は低いこともあります。

逆に、嚥下食となると「もう食べれない」という認識になったりする方もいます。

「今食べれるもの、今の条件を守って食べていると今後こういうものがまた食べれる」などの目標設定をしっかり説明し、理解して頂くのも必要となります。

 中には熱心に、吸引や嚥下機能について理解されるご家族、介護者もおられ、そういった方の場合、最大能力での食事を食べておられることもありますがまだまだ稀です。


4、嚥下食のレパートリーの不足

退院時の設定の食事に準じた市販食や宅配弁当では味付けが合わず、食べない。ということは退院後の在宅生活ではよく見かける光景です。

食べれなくなった時に、同じぐらいの嚥下レベルで食べられる市販食がその方のお住まいのエリアのドラッグストアやスーパーのどこで売られているか、外食も出来る場所がある、インターネットが利用できる方なら通販サイトもお伝えします。

レパートリーをあらかじめ持っていると「食べないから、もうあきらめました」を防げる可能性が上がります。


4点挙げてきましたが、

理想としては「毎日、一番最大能力で食べられるものを美味しく食べてほしい」という想いです。それが難しい状況であるなら、専門職が担当する時間をその方にとって「特別で美味しい、楽しい時間」に出来る様に努めたいものです。














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