「ST、在宅やってるってよ」その4
今回は訪問でのSTサービス導入時の留意点についてです。
その前に、在宅、特に「家」において利用するサービスは「利用者本意」が非常に大切です。「パーソン・センタード・ケア」と言われたりします。
病院での対応は、発症からSTリハビリの必要性が本人の希望の有無や「どんなことをするのか」へのウェイトはどうしても軽くなります。(確認したくても出来ないことも多い)
簡単に言うと、在宅では「本人が希望していないと続かない」ということです。
病院では従順にリハビリをしていたが、退院後は周囲は継続の必要性があるので勧めるが、
したがらない、という方に理由を尋ねると
「だって(病院では)リハビリやらんと、帰してもらえへんかったし。」
なるほど、と思いました。
また別の方は病識が乏しくなりがちなウェルニッケ失語の方でしたが、
ケアマネジャー、ご家族からの相談で事前訪問に行きましたが、その際はニコニコと対応されていたので、感触が良いのかな?と思っていたら、、、
後程、ご家族より電話があり、私が帰った後に「何でそんな事をしないといけないんだ!」
と怒鳴り散らして、今後も来る度に怒るかもしれない、と思うと必要だとは思うが、無理だと、連絡があったり、、、、
そんな経験を踏まえて、事前訪問で当事者が問題である症状に対してのSTの必要性を感じていないな、と感じる方には幾つかの提案や工夫をするようになりました。
①何がしたいか、自分自身をどう捉えているか、の確認。
口頭での言語理解が難しい方でしたので、図と漢字で示しながら、聞いていきました。
すると彼は言葉は良く分かっているけれど「記憶」は病気をしてから不安がある、とのことでした。
本当は言語理解の練習をしたいのですが、「記憶」を鍛える練習をしましょう、と提案すると継続して支援に入ることが可能となりました。
②「やらなくて良くなるために」やる
「病院では嫌嫌やっていた」という前述の方に対しては、「リハビリ」はせず、周りが「サポートが要らないとわかってもらう太鼓判を押す為」で合意しました。
結果的にその後2年半担当させてもらうことになりました。
③「店を開くために」やる
多くの問題を抱えておられる方でしたが自身の問題には全く気づかない状態でしたが
「自営業を再開したい」の希望はあり、最初は「再開しないと駄目なのでリハビリはしている時間が無い」だったのが、「店を再開するお手伝いをする」と提案することで担当することが出来ました。
このように
入り口は相違点が大きくても、どこか共有出来る事から繋がると、
後々に当時見えていなかった点も気づかれたり、アドバイスも聞いてくださったりするものです。
無理に始めるのでは無く「その人の全体を見る、聞く中から出てくる自分発信の希望」
を見つけましょう。
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